- 作者は信濃川日出雄先生。
- 新潮社より出版。webサイト「くらげバンチ」に連載されています。
- 単行本は現在16巻まで刊行。
主人公の27歳会社員、日比野鮎美の登山中心とした日々の生活を描いた作品です。
一〜数話で完結するショートストーリー仕立てになっていて、短い時間でも楽しめます。
絵がとてもわかりやすく、個性的なキャラクター達が、表情豊かで魅力的。
鮎美の表情が、感情によってコロコロ変わる様はとっても可愛らしい。
美しい山々やリアルな登山用具の描写も、普段登山をしない人にさえ「登山してみたいな」と思わせてしまう魅力があります。
またユーモア溢れる話も多くあり、山登りの楽しさをこれでもかと伝えてくれます。
ほっこりと温かい気持ちで笑わせてくれる話がとても多いです。
たまに出てくる笑えるポエムが個人的に好きであります。
人生を考えさせられる話もあり、共感できる人生哲学もまた面白さの一つです。
めちゃくちゃ美味しそうな食事シーン
タイトルに「食欲」とあるとおり、毎話必ず調理と食事のシーンがあります。
それがとっても美味しそう。
絵を見ただけでも食欲をそそられます。グルメ漫画としてとても秀逸です。
管理人も家のキッチンではありますが、影響を受けて実際に作った料理がいくつかあります。
しかし、作中では登山中の調理シーンが多いため、限られた条件の中での料理。
例えば
- 持ち歩く食材の量や種類が多いと歩きづらい。
- 調理器具も同様。
- 生の食材が悪くなりやすい。
- 山中ではゴミを捨てられる場所が少ない。(調理後・食後にゴミや残り汁を多くしたくない)
こういった条件の中、鮎美が色々考え試行錯誤して、山で美味しいものを作ろうとします。
そんな、鮎美の工夫やこだわりなどがとても考えられています。
実際の登山でも参考になるでしょう。
時には失敗もありますが、美味しいものができて、それを食べている鮎美の恍惚とした表情を見ると、読者も幸せな気分になります。
また、行き先でのご当地グルメを食すこともあり、これまたたまりません。
登山ではなくとも旅行に行きたくなります。
登山の魅力に溢れている
高尾山・八ヶ岳・鎌倉・涸沢・筑波山・丹沢・箱根・雲取山・立山・金剛山・日光白根山・藻岩山・南アルプス・富士山・くじゅう・浅間山・安達太良山・中央アルプス・御岳山・羊蹄山・石鎚山・笠取山・霧島山などなど。
北海道から九州まで、実在する山や場所が多く登場。地元であったり、行ったことのある場所が出てくるとテンションが上がります。
それらの山々に加え「とある山」の、登下山のようす、食事のシーン、山小屋やテントでの宿泊等、山にまつわることが描かれています。
きちんと登山の計画をたて、準備をすることの大切さ。
登山中でも無理をせず、場合によっては中止する勇気。
鮎美も、途中下山で悔しい思いをしたり、怪我をしたり、命の危険に晒されたりします。
挑戦し、失敗し、反省して、また挑戦しようとする。
そして登頂に成功したときにだけ見られる景色と達成感。
このマンガを読むだけでそんな満足感が、味わえます。
山の厳しさ・危険も伝えてくれた上で、それでも山に行ってみたいなと思わせる作品です。
登山のHow to
鮎美は単独登山し、テント泊もするような登山上級者です。
鮎美の心の声や独り言で解説してくれる内容は、登山をしたことが無い方でも、なるほどと思える分かりやすさです。
また、鮎美の体験や失敗を通して、登山のマナーや準備しておくべき物、計画の大切さなど、すんなりと頭に入ってきます。
登山初心者のガイドブックとしても最適なマンガですが、
「鮎美ちゃんとはじめる山登りー気軽に登れる全国名山27選ガイド」という本もあります。
27名山の紹介だけでなく、山登りをするための道具・装備の選び方や使い方、山歩きのマナーやコツ、楽しみ方など分かりやすく解説してくれています。
適度な距離感の人間関係
ちょっと人見知りなもある鮎美。
そんなこともあってか単独で登山することシーンは多いです。
普段の人間関係をスムーズにするため、人とつながらない時間を作る。
前向きに、人間関係から逃げる。
それが鮎美が単独登山をする理由のひとつでもあるようです。
ですが、鮎美を取り巻く周りの面々は個性的でとってもユニークなキャラクターをしています。
そんなキャラクターたちとのやりとりも、とても面白くほっこりさせられます。
このマンガを読むことで、楽しいひとときを感じることが出来ます。