- 作者は猟師でもある岡本健太郎先生。
- 講談社のイブニングに掲載され全7巻にて完結。
- マンガ大賞も受賞されている人気作品です。
猟師の日常をユーモラスに伝えてくれる
岡本先生が実際に猟師になるまでや、猟師になってからのことをエッセイマンガとしてまとめた作品です。
岡本先生が新米猟師の頃の日常を描かれています。
ですので、初心者視点で描かれており、猟師と全く無縁の生活をしているひとでも分かりやすく、共感しやすいです。
初心者ならではの失敗や、猟師ならではの日常などをユーモアたっぷりに描いているので、一話たりとも飽きることがありません。
また、狩猟免許の取り方や、銃の所持するための方法、罠の仕掛け方や動物の特徴など、猟師になるために必要なことが描かれており、猟師になりたい方・興味がある方の入門書として最適なマンガではないでしょうか。
遭難して食糧がないなど、山で困ったときの対処法も載っているので、いざという時に持っていたい知識を学ぶのにもおすすめです。
命をいただくことへの感謝
毎話ユーモラスである一方、
獲物が獲れた嬉しさと、動物の命を奪っていることから生じる思いのはざまで、複雑な感情を抱く岡本先生。
「普段から肉は食べているわけで、ぼくが知らない所で生き物は死んでいるわけですが、それを自分の手で行うというのはやはり複雑なものがあります」"【第二矢目】初猟Ⅱ・ハトより" 「今までも鳥は撃ち殺しています。魚だって釣れば殺しているわけです。イノシシだから殺すのが可哀想ではつじつまが合いません」"【第十九矢目】罠Ⅲより"
上記の様に思いながら、獲物の前に立つ岡本先生の姿は心打つものがあります。
普段、調理済みの食品を買って食べている私たちには、気づきにくいことであり、ハッとさせられます。
「命をいただくわけですから感謝の心を忘れないようにしましょう」"【プロローグ】より”
命を奪うのは、その肉を食べて自分の命をつなぐためであり、奪った命に感謝する。
作中はそんな動物への感謝や、自然を大切にする気持ちが強く溢れています。
無駄に命を奪わない、そんな思いからか岡本先生は「撃って獲れたら食べないといけないという自分ルール」を持っています。
生きるための食、食育の教科書として子供に読ませたいマンガです。
美味しそうなジビエ
猟で獲れたものを、さまざまな料理にして楽しむ描写もまたこの作品の魅了です。
動物を解体する現場は実際に見たらグロくてショッキングでしょうが、可愛らしい画風のおかげですんなり読めます。
解体の方法なども紹介されているので(その知識を使うことがあるかどうかはさておき)、勉強になります。
そして食べている料理がとても美味しそう。
肉、が食べたくなります。
好き嫌いが分かれそうですが、内臓系の料理や生肉もまた美味しそう。
生肉は猟師だけが(自己責任で)食べられる特権だそうです。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ジビエが食べたくなること間違いなし。
猟以外にも、魚釣り、山菜とりなどを楽しむ岡本先生は色々なものを食します。
肉以外の魚料理・山菜料理も本当に美味しそう。
しかし、ここで問題(?)となるのが「撃って獲れたら食べないといけないという自分ルール」。
このルールによって、一般的に食べることがない生き物でも食していきます。
烏が畑を荒らすので、岡本先生は農家に依頼されて駆除することになるのですが。
駆除で獲った烏も食べます!
一体どんな味がするのか?
美味しいのか?
興味をそそられますよね。
そのほか、この生き物食べられるんだ?
というような様々なものを捕らえて、調理し、食べ、味を伝えてくれるのもこのマンガの醍醐味。
TVのサバイバル番組も真っ青です。
人生の糧となる一冊ですので、ぜひご一読ください。